フリーランス翻訳 「僭越ながら」を使う

納期1時間以上前にいきなり納期催促!?

翻訳は基本的に全てがリモートで完結するので、顔が見えない分、通訳の現場で感じることができるフィーリングというか雰囲気というものが全く読めません。海外の依頼だと時差もあるので、案件に関してビデオ通話や電話で確認はなく、まずチャットシステムかE-mailが主体です。

先日、午後2時締め切りだった原稿を、それでも余裕を持って1時間前には目処で納品すべく朝から黙々と校正していました。
他の仕事と掛け持ちだったので、余裕もこれが可能ラインでした。
ほぼほぼ時間通りだなと時計を見て思ったその時、翻訳エージェンシーのプロジェクトコーディネーターの方から「直ちに(システム上で)完了して下さい、こちら側で次の作業に進めません 」とメッセージが来ました。
時計はまだ午後1時前、つまり締切時間より1時間以上前のことです。
プレッシャーをかけてますよ的な文調というか。

「指摘・叱責を受ける→非を認め謝る」は当然の流れですが、今回は思い当たる節がない。
海外暮らしも長いけれど、その前にそれ以上に長い社会人生活を日本でガッツリこなしていた経験をもっても「課題は、締切時間の1時間前に出す」という不文律は心当たりがありません。

といって、すぐ提出する精度には僅かながらまだ達していない。。
といって、遅れてはいないわけで「すみません、まだ提出できません」という謝罪フレーズも違う。
この先、このエージェンシー様の依頼は締切時間に本音と建前があると認識して受注することになる?

僭越ながら… 質問です

というわけで、「僭越ながら」として
・締切時間までまだ1時間以上あるし、出来上がりに責任がまだ持てないのです
・頂いた条件(納期)内には収まっていて、何が非か分からないのです
・締切時間より1時間前に納品を強いるのはよくあることでしょうか
を(もちろん謙譲形のビジネスメールで)伝え伺うべくメール送信しました。

ありがたいことに複数のお客様や案件があるため、基本的に月始めにスケジュールを4週割りし、週始めに微調整をしながら、その中で今は通信講座の課題提出も進めています。
目に見えないダブルスタンダード締切があるようでは私も続けにくいと思ったので、これで縁が途切れても残念ながら仕方ないかなと。
ちなみにこれに少々動揺し自身の予定を越えましたが、納品は結果的に締切の30分ほど前に済ませ、それで「僭越ながら」メールを送信しました☺︎

こちらの解釈は伝えたので、私の方はランチで精をつけて速やかに他のクライアント様の仕事に移っていました。
間も無く返信がありましたが「ご不快にさせて申し訳ありませんでした」と… え、それだけ?

不快では無いんだな、今回の依頼の中で何か悪いことをしたわけではないし。
逆にプレッシャーをかけられたということは、先方に私の時間割に納得しないところがあったと思ったので。
それをクリアにしないと、次の依頼も同じことが起きると思うから避けたいわけです。
この案件はクラウドソースサイト経由なので、メール以外にコンタクトのしようもなく。
会話のキャッチボールにはならなかったけれど、私の中では「ふむ」と首を傾げつつ終了案件となりました。

次の仕事に繋がれば、全て良し?

が、数日経った頃、早々に再度追加依頼がありました。
こちらの納期解釈は既に伝えていたし、翻訳内容は面白い。
「今後は『本音建前締切で』」と指示されたわけでもなく。
なので前回通り字面で明示された締切時間を軸にスケジュールを組み進め納品しました。

普通に進められるのなら、あえてほじくり返して「こう仰りましたけど、私はこうしますから!」も角がたつだけで生産的ではないもの。
でも前回の締切時間よりシレッと2時間ほど繰り上がっていたので、薄々何か感じるところもありました☺︎

あの「1時間前の叱責」の意図は依然明文化されないまま、でも次の依頼が来たということは「これまでの出来と姿勢で宜しい」と解釈しました。

「僭越ながら…」と申し立てる判断基準はどこに?

こうしたことは初めてでした。
いきなり依頼が来て「(日程的に)難しいです」と伝えても「どうしても!」と押されて、暗黙の了解でギリギリ納品ということはたまにありましたが、余裕を持って頂いた仕事の納期は当然守ります。

考えたのは「これがもし会社勤めで上司との間で起きた場合、やはり『なぜ納期より1時間前の段階で、すでに納期を迎えこちらが遅延したかのように話すのでしょう?』と直接確認するだろうな、私」ということ。

在宅だから、フリーランスだから、若干仕事の取り方が組織に居た頃と比べて変わったとしても、この疑問に対する判断基準は同じだろうと思うのです。

顔が見えない仕事だから気遣いも対面より必要な気がするけれど、見えないからと気になることを覆って貫こうとすると小さなしこりは残り続ける気がします。だから今回は、思うところは伝えたわけですが。

そうして「僭越ながら…」をしても今回のような背景で「納期1時間前に出さないあなたが悪い」と言われれば、これはもう一生交わることのないベクトルですな。
例え報酬が良くても私はその次からは辞退した方がメンタル的に良い☺︎

やはり気持ちよく仕事をしたい。翻訳は楽しいままでいたい。
生業なんで無報酬ではしませんが(笑)、やっぱり好きな仕事はしこりなく楽しみながらやりたいですもん。
このしこり抱えたまま続けたら、お金だけのための翻訳になっちゃう。

結果的に間もなく予定していた期間で「プロジェクト完了」通知が翻訳者たちに向けて出ていたので、この案件は The End。
翻訳分野もコレポンも良い体験になりました☻

他のフリーランス翻訳の方は、覚えのないところで指摘を受けた時、どう先方とやりとりされるのかしら?

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