メキシコで働かない?(2)

この瞬間に採用が決まる?

「ここで『はい』って言えば、私もメキシコ行っちゃうの?」

「そういう事です」

旅ならともかく、海外で働くってそんなにポップに決められる事か…?

「んー、でもそんな簡単には。やはり家族と友達と和食から離れるのは…。今まで外国に住んでも最終的には帰って来てるし」

「あれ、意外に考えるんだね。海外に出たい人だと思ってた」

「よく言われます。
でも長く住むのは日本って基本いつも思っています。だから自分で決めた旅ならともかく、仕事として年単位の覚悟はちょっと…」

メキシコシティなら絶対行かない

2006年に語学遊学と称してメキシコシティに半年居た私には、治安の悪さから来るストレスとラテンのノリに疲れて帰国した経緯がありました。

メキシコシティは基本的に南側が外国人が住む裕福な地域です。お店もヨーロッパ的でオシャレなところが多いと思います。

私が現地人の親友宅に間借りしていた北側は、住居も店も南側と比べて見劣りするのは否めず、語学学校の先生に私が「xxx駅から来ています」と言うとも必ず驚かれる地域でした。

’06の到着初日、大家となる親友と久しぶりの再会を喜んでいるとドンっと鈍い音が玄関前の通りから聞こえました。
彼女が慌てて玄関から覗いて「若い男性が口から泡を吹いて倒れている」と言い、近所の人が私たちの玄関先に集まっていました。
様子見に表へ出て野次馬と話した友達曰く「クスリの幻覚症状で、壁に登って落ちたらしい」と。
“とんでもないとこに来た”… 初日にそう思ったのを覚えています。

ただメキシコシティは、さすが大都市なだけあって刺激的です。
美術館・博物館・カフェ・レストラン… メキシコは都市としては美術・博物館の数が世界一だったと思います(’17時点、確か国としてはイギリスだったかな)。

しかし、仕事として長く住みたいかと言うと、200%無い。
幸い犯罪には巻き込まれた事は無いですが、やはり犯罪率高さは否定出来ない。
だから何をするか何処へ行くか分かってない時点で「シティなら無理です」と即答しました。

都会でも田舎でもなく

「シティーじゃないんだけどそんなに大きな街でもないんだよね」

新工場が建つその州都を3人でGoogleマップで調べました。
距離にしてメキシコシティーから420kmほど、車で大体4時間強ぐらいとの事でした。

「でもメキシコシティーと違って車がないと不便なんだよね。車は多分自分で買ってもらうことになるんだけど」

え?スカウトされて行くのに、それってどうなの…。

三種の神器

「シティじゃないにしてもやっぱり悩みますね。
海外で暮らすんだったら必ずあってほしいと思うものがあるんですけど…
1.湯船  2.ZARA  3.IKEA 、どうです、あります?」

「え、そこ?
1は、まず気候的に基本シャワーだなぁ。あったとしても水圧が弱い街だから湯舟が用意できる頃にはお湯が冷めるもん。
2のZARAはある。3はメキシコ自体にないでしょう」

つづく

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