メキシコで働かない?(1)
友達夫婦がメキシコへ転勤
2012年の5月、私の地元に住むカナダ人の友達から「旦那の勤務先がメキシコに工場を立上げる事になって、彼が赴任する事になったから2人で渡墨する事になったの。良かったら出発前に一緒に食事でも?」と連絡がありました。
早速、直近の週末に私が地元に戻り、出来たばかりのメキシコ料理屋さんへ3人で行く事にしました。
メキシコが縁のカナダ人友達
彼女とは2004年最初の頃に出会いました。
地元に住んでいたアメリカ人の親友が、ある日
「同僚にカナダのモントリオール出身でメキシコに住んでた子が居て。Nomadista(私)がモントリオールに住んでたから英語も話せて、メキシコでバックパッカーしてたこともあるって言ったら、『メキシコの思い出話したい』ってさ。電話番号渡しても良い?」
と言うので、「どうぞ」と返したのが始まりです。
間もなく彼女から連絡があり、2人でカフェに行き初対面をしました。
メキシコに長年仕事をしながら住んだ彼女に比べて、当時の私のメキシコ度は2週間フラッと旅した程度でした。
カナダ史を専攻していた私は、どちらかと言えば彼女の故郷モントリオールの方が思い入れが深いのですが、とても楽しそうにメキシコの思い出を話す彼女と楽しい時間を過ごしました。
その後、2004年以降の私は仕事バリバリ期を経て2006年に退職、若干燃え尽き症候群っぽくなり長い修学旅行と称してメキシコに半年遊学しました。
戻ってからは英日通訳として短期契約を経て、2009年には正社員への転職で名古屋に転居しました。
私が地元を離れた為、彼女とはその後2012年までの10年間で、地元で外国人開催のハロウィンパーティと花見で会った程度でした。
パーティには彼女の日本人の旦那様も同席していましたが、すごく寡黙な人だった印象しかないです。
送別会のはずが…
話は戻って、メキシコ料理屋さんで3人の送別会が始まりました。
しばらくして彼女が目配せをしながら
「この前言った事だけど、もし良かったら彼と日本語で話していいわよ」
と私に振ってきました。
実はこの宴の数日前に彼女から
「旦那は今後人事面を詰めていかないと行けなくて、私はあなたを推薦したわ。
最初はアメリカとの取引だから英語が上級な日本人が居たら強いのよ。すぐに見つかる条件ではないし、あなたなら日本でも海外でも外国人と働いてるから文化的理解もあるし」
というメールをもらっていました。
ここで言う「日本語で話していいわよ」と言うのは、彼女が日本語を話せないので、いつも私達3人が同席のときは、英語とイタリア語なまりのスペイン語とゴチャ混ぜで話すのですが、“この件は複雑だから彼女を気にせず、旦那様(日本人)と日本語でササっと話しちゃっていいわよ”を意味していました。
ヘッドハンティング?
当時の職場では4年目となり部長と課長から「マネージャーを目指さないか」と言われていました。
その時は少し迷いがあったので断りました。
終身雇用なんて世代でもないので、高みを目指せるところがあれば転職もとまだ漠然と思っていたからです。
ただ海外転職など全く頭になく「あのメールの内容も、触れなければ彼女も忘れるだろう」くらいに思っていたのに、彼女が私達2人をジッと見ているので「彼女からメール貰ったし、話さないといけない雰囲気があるよね(笑)」と彼女の旦那様に切り出しました。

「ありがたいのですが、私は海外で仕事とか考えてないんです。
最終的に住むのは日本って普通に思っていて。
それで海外はこういう風に口コミからスカウトも有りだけど『日本はそういう文化じゃないよ』って彼女にも返信はしました。
それに車業界も何も分からない外部の女性引っ張って来ていきなり『この人雇います』では、メキシコで旦那様の上司になる方が納得しないと思います。
だから真に受けてないので『奥さんが言い出したのに悪いね』とか気にしなくて大丈夫ですよ。
もうココで話したからこれで彼女も納得してくれるでしょう」
と回答しました。
すると
「俺が社長なんだよね。だから俺が採用って思ったらそれで決まりなんだ」
と腕組みしながら渋く言いました。
「え、現地の社長さんなの?」
【つづく】
