FM2とFM3/滞在許可証(2)
私はFM3を2013年の渡墨時に初めて取得し、2014年に更新しました。
その後2017年にFM2へ切り替えています。
従ってその当時の現地採用者の話であり、最新の情報と方法はご確認下さい。。
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「予約無しで許可証の面接なんて無理」
領事館に到着し、FM3の手続きをしたい旨を伝えると、真っ先に帰って来た言葉でした↑
絶望的な気分です。
「でも、うちの人事部長が『予約は要らない』」って。
何度も確認したけれど、スペイン語同士だから聞き間違いではないはずです。
書類もここに彼が準備してくれたものがあります」
そう伝えると
「誰と話したの、そう伝えた領事部の担当者は?」
しかも暫く書類に目を通し
「この書類、ほぼ使えないけど…一体どこから取ってきたの?」と。
し、知らない… 私が答えられたのは
「弊社の人事部長は『予約は不要、前にもやった事あるから大丈夫』と。書類も『弁護士と確認して準備したから、これを出すだけで良い』って。私はまだよくスペイン語分からないから、人事部長だし間違いないだろうと… でも仰る事はすごく分かります、私も心配していた事なので。
OK メキシコに戻ってまた出直します。 Thank you so much.」
と言ってカバンに書類をしまい始めました。
「自分でやってね」と言われてたらまだしも人事部長が陣頭指揮を執っていたんだから仕方ない。
今度は良い便とホテルで来よう♪と、そういうマインドの切り替えは早い方です。
とはいえ、「自分でもやっぱり国際電話なりで領事館に電話するべきだった… アイツめ…」と、当初から不安しかない人事部長への不信感と自分の不甲斐なさへの憤りはフツフツと湧いてきました。
全てその場でやり直し
書類をしまっていると、受付の女性が
「締め切りまであと30分あるわ。貴女の書類は使えないから一から書類を埋める羽目になるけど、時間内に出来れば面談に組み込んであげる」
と。
「え?あ、ありがとうございます。分かりました、出来るだけ埋めてみます!」
もうランチで買い物して帰ろうって気にはなっていたものの、また弾丸日程でロスに来るのが少し面倒というのも事実です。後ろの筆記台に行き記入を始めました。
すると30代くらいの中東人男性が2人が近づいて来て「貴女、日本人ですか?」と聞いて来ました。
「そう、でも、ごめんなさい。今ちょっと慌ててるから」と会話を切り記入を続けました。
外国人の男性がこの切り出しでニコ²で話してくるのは、経験上あまり良い兆しではないことが多く。
記入を進めていると、理解できない質問が… ふり返って受付を見ると、さっきの彼女が窓口に居ません。
「分かんない、どう答えるんだろう。時間無い、どうしよう」
ジーッと用紙を前に頭を抱えていると、さっきの2人が覗き込んで
「ここは、こういう事を回答すれば良いんだよ」と。
「ゲッ、個人情報見てたの?」と驚いたけど、ありがたいのも確か。
「Ah Thank you」と言い、記入を終えて受付に戻っていた女性に提出しました。
ザッと目を通すのを見守っていると彼女が「プッ」と吹きました。
「何かおかしいですか?」と聞くと申請者の容姿についての質問を指差して「これ(笑)…」と。
私が書いたのは「黒髪・黒い瞳・白肌・Gordita(ポッチャリ体型)」でした。
最後のこの言葉、とてもカジュアルな表現だそうで、でもスペイン語が浅い当時の私には唯一思い出せた単語…お姉さんは「問題ないけど、申請書に使う言葉じゃないから笑っちゃった」と言いながら受理してくれました。
ホッ… 面談まで行けるって事はイケるかもと安堵し待合室で腰掛けました。
するとニコニコのさっきの中東人2人がまたやって来ました。
私も落ち着き「さっきはごめん。色々あって時間が無くて。助かったわ、ありがとう」と伝えました。
…待てよ、「この2人、ロサンゼルスに居てなんでこんなに日本語喋るんだ?」と我に帰り気づきました。
「日本語上手いですよね」と言うと
「ありがとう、日本に4年くらい住んでたから。名古屋って分かる?」
「マジで?私、愛知県だよ!」
「マジ、マジ」
「ただの日本人女子好き外人だと思った、ごめんよ」
「まぁ、それも間違いない」
大爆笑。
その後、味噌カツや味噌煮込みうどんの話、遊び場の話をして大盛り上がりでした。
間違いなく憤りで上がった頭の温度が下がりました。疑ってごめんよ。
15分程度の面談
1時間強くらい待ったところで、領事部長だと思われる方の個室へ呼ばれました。
ミニ国旗が掲げられたデスクに彼女が座り、私はデスク前の椅子に座るよう促されました。
「スペイン語は?」と聞かれ「日常会話くらいです」と答えると、
「英語は大丈夫?」と聞かれ「それなら問題ないです」と答え、何点か質問を受けました。
メキシコは初めてか、勤め先の職種は、前職は何か等です。
多分15分程度だったと思います。
「OK 外で待ってて。名前が呼ばれたら受付へ」
何はともあれ、無事終了
さほど待つこともなく呼ばれパスポートを渡されました。
査証シールのページを見せられ「これを滞在している州の移民局に他の書類と一緒に出して」と言われました。
そして最後に
「良かったわね、間に合って。楽しいメキシコ生活を!」
この一言で準備不足への怒りに沸いていた頭が完全に冷却されました。
文化の違いなのか、仕事のセンスの問題か… ”人事部長”ともあろう人がここまで不備を重ねるとは予想だにしなかった(笑)
今思うと“メキシコ人と働く”というカウンターパンチの一発目でした。
何はともあれ終わった、もうイライラしても何も変わらないし、きっと空腹のせいもあるだろう…
手続き後は徒歩圏内だったホテルに一旦書類を置きに帰り、まず腹ごしらえ。
いかにもハリウッド映画に出て来そうなダイナーを見つけました。“旅先ではその土地の料理を”がモットーなんで、ハンバーガーにフレンチフライという、普段は手を出さないジャンクフードを完食。
その後はいつもアメリカでいつもチェックするアパレルのお店に行って軽く買い物をし、翌朝にはメキシコに戻って来ました。
【つづく】