お呼ばれの慣習

招待客として

先日、我が家で夕食を振る舞ったのですが、その時にふと不思議に思った事が一つ。

カナダでもイタリアでも我が家でお食事という時は、メインは私が用意をして、飲み物は各自持参をお願いしていました。
イタリアだとそれではワインが集まり過ぎるので、人数や得意分野によっては一部がスイーツ担当になったり。
メキシコは違うのかなぁ… 手ぶらで来るし、友達と連れ立って行く時も手ぶらで行く事が多いような気がする。

そこで考えてみました。

こちらで人を家に招く食事といえば、思いつくのはBBQか名目付きのFiesta(フィエスタ)(パーティー)。

私は「何かついでに買って来て欲しいものない?」と出発前に聞きます(大体は「無いから、早く来な」と言われる)。
メキシコで呼ばれるのはBBQが多く、BBQにワインは稀なので、ビール6本セットを持っていけばハズレなし。安ワイン1本よりお安いです。
テキーラもアリですが、瓶を開ける時に飲まされます。大体は主催者の家に一本ありますし。

Fiesta(フィエスタ)は専用の会場を貸し切って行うのがほとんど。
Baby Shower(ベビーシャワー)(出産前祝)、洗礼式、誕生日、Quinceañera(キンセアニェーラ)(成人式メキシコ版、但し15歳の女の子のみ)… 会場にビュッフェ形式で食事と飲物が用意されています。
だから、参加者は飲食物は持参は無しで到着するようです。
(Baby Showerや誕生日はプレゼント持参です)

招待されると1人で参加はまず無い文化ですし、これらは全て子供絡みのイベントなので家族参加が殆どです。
結構な額ですが、招待客にご祝儀や参加料金なく全て主催者持ちです。

無料だからではなく渡墨当初は文化考察の一環だと思い、主催者に面識はなくても友達に呼ばれると彼らについて参加していました。
色々と気疲れするので、ここ3年くらいは直の友達のものでなければ辞退していますが。

Invitar=おごる

(西)Invitar=(英)Invite… 日本語では「招待する」と習う単語です。

海外に出て、アルファベットでこの言葉を発する場合は「おごる」という意味がある事を知りました。
日本語で「招待する」は、その場に「招く」であって、必ずしも読んだ側が費用を持つわけではない…というのが私の理解。

だから「家での食事に招待する(Invitar)」となると、こちらでは基本手ぶらなのかなぁと思ってみたり。
でもイタリアは、同じ単語を使っても持参が当たり前だったんだよなぁと思ってみたり。

先に挙げたパーティーも、私が誘い言葉に乗らないと「タダ飯だよ」って推しの一手のように言うんだよなぁ。
理由はそこじゃないから、タダと言われても心が動かないから行かないけれど… なんだかなぁ。

何気ない食事の集い

イタリアやカナダに居た頃は平日でもたまに「ちょっとウチで集まる?」の掛け声とともに、主催者が簡単なパスタを用意、デザートやサラミやワインを持ち寄り2時間くらい会話してバイバイというのがたまにありました。

メキシコは一般的に家で”きちんと夕食”を取る文化で無いからかな、特別な日でもない時に”食事”に人を招く習慣が無いかも。
ここでいう”きちんと夕食”というのは、主食・副菜などのセット、”ご飯+お味噌汁+おかず”みたいな。
肉とビール持って数人集まればすぐ始まるBBQは週末しょっちゅう家族や近所の人と開催してるイメージだけど。

昔、会社でアシスタントに「普段の食事って何用意するの?」と聞いたら「ランチはサンドイッチ、夕食はタコス」って言ってたし。
最近の若い世代は、どんどん料理をしなくなってるって聞いた事もあるし。

メキシコでお家ご飯に呼ばれた時は、外で買ったタコスをテーブルに並べたくらい。
タコスは一つ100円もしないので、「いくらだった?払うよ」というのも気が引けるようなもの。当然”Invitar(無料招待)”扱いです。

そう言えば、お呼ばれしてがっつり”食事”が出て来たのは、奥様がスペイン出身やカナダ出身とかメキシコ以外の人でした。

食べ物へのこだわりの違い

母国日本も、住んでいたイタリアも、食べる事への情熱は高いかも。
日本人のインスタ見てると「#今日のご飯」で料亭かと思うほどの料理がたくさんあるし。
“インスタ映え”って言葉に象徴されるように、写真上の一時的な用意としても、一食あたりのパッションが違う。

片やメキシコは主食や副菜が揃う”食事”を毎日用意というわけでは無さそうだから、”Invitar”しても、サンドイッチを食べる感覚で手ぶらでやって来るのか…

例えば我が家でのお食事会。
私の友達はほぼ全員甘い加工ワインを好むので、「我が家にはその手のワインは無いから持参して」と言うと、「大丈夫」と言って我が家のフルボディワインを飲みます。

皆で飲む方が美味しいし、色々味見できるから構わないんだけど、外食の時は絶対飲まない味を我が家でガブガブ飲むのはタダだからかなぁ… と勘ぐってしまう黒い私。

私は夕食にはワイン派なので、友達が来る時はテーブルワインよりちょっと値が張るものをいつも用意していたのですが、彼らは基本的にワイン派ではないので感想の言葉がない。といって、普段飲むものを持参もしない。

ということで、最近は友達の訪問時はスーパーの最安価ワインにしてみました。
ごめんよ… と思うも、食材を調理して、そのお供にワインを選んで並べたホスト(主催者)としては、感想が無ければ別に何でも良いのかなと。

ワイン変わってもコメント無かったから、まぁこんなもんらしい。
今まで選んでいた努力がちょっと悲しい…。

2-3ヶ月に一回の話だし、お金がかかると言うのではなくて。
たくさん笑って、カジュアルな格好で寛ぎながら、私にとっては楽しみな時間。

ただ、心持ちがね… あくまでも私の偏向的な考察であって、”タダ飯”だからお呼ばれに行くのではなくて、”楽しく美味しい時間を過ごしたい”であって欲しいと思うのです。

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